会長挨拶
第59回日本臨床分子医学会の会長を拝命した 四柳 宏 と申します。
伝統ある本学会の会長を務めさせて頂くことを光栄に思うと同時に身の引き締まる思いでおります。
日本臨床分子医学会は臨床医学と基礎医学を“分子”というキーワードでつなぐ学会であると同時に、最新の基礎医学の手法を活用して臨床医学の研究を行われている様々な分野の先生をつなぐ学会でもあります。“from bed to bench, from bench to bedside”を代名詞とするTranslational Researchがこれまでも多数発表されてきました。
今回の学術集会のテーマを“分子の眼で捉えた臨床医学の鳥瞰図”と致しました。臨床医学の細分化が進む現在、様々な生命現象が各領域でどのように研究されているのかを俯瞰することは益々大切になってきております。多くの皆様にその世界を存分にご覧いただければと思っております。
特別講演は2名の先生にお願い致しました。
一つ目の講演は東京大学医科学研究所所長の中西真先生にお願い致しました。中西先生はがんに関する基礎研究から最近は老化のメカニズム、老化した細胞をどのように取り除くかなど老化研究を幅広く繰り広げておられます。人体の様々なシステムにおいて、老化が様々な病態・疾病の成立に大きな影響を及ぼすことが次々に先生方を中心に明らかにされてきております。最新の成果、今後の展望などに関してお話頂けるものと期待しております。
もう一つの講演は東京大学医科学研究所 ワクチン科学分野の石井健教授にお願い致しました。石井先生はワクチンアジュバント研究の第一人者で、医薬基盤研究所において新しいアジュバントであるK3-SPGを作られた先生です。現在はこうした新しいアジュバントも含め、ワクチンの開発に心血を注がれています。ワクチンの臨床試験に関しても豊富な経験を持たれており、感染症以外のワクチン開発にも関心をお持ちです。ベンチからベッドに薬を届けるために必要なことも含めて興味深いお話が聞けるものと思います。
本学術集会をきっかけに様々な生命現象、病態の理解が進み、疾病の解明、さらには新たな治療の開発が芽生えることを願っております。
第59回日本臨床分子医学会学術集会
会長 四柳 宏
(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター感染症分野 教授)